灯油ボイラーの水漏れは故障?原因別の対処法・応急処置を徹底解説
この記事では、灯油ボイラー(灯油/石油給湯器)の水漏れ原因や対処法を詳しく解説します。
灯油ボイラーからの水漏れをそのままにして使っていると、不燃焼で一酸化炭素が発生するといった大変危険なトラブルの原因にも。そのため、水漏れ原因が何か、大きな故障かどうかにかかわらず、まずは水漏れの応急処置が重要です。
記事冒頭で紹介する応急処置を済ませてから、原因や水漏れ箇所に関する詳細を読み進めると、業者依頼時もスムーズでしょう。記事後半では、灯油ボイラー本体を交換すべきかどうかの見極め方まで丁寧にご紹介します。応急処置で被害拡大を抑えてから、ぜひ最後までご覧ください。
灯油ボイラー水漏れ時の応急処置
水漏れを発見したら、水漏れによる被害を抑えるために、水道の元栓を閉めて給水を止めましょう。水漏れをそのままにすると、大量の水漏れで床材が傷んでしまいます。
また、マンションなど集合住宅の2階以上に住んでいる場合、階下への水漏れの可能性があります。階下に水漏れがあれば、賠償責任も発生します。
もし、水漏れ箇所の確認が可能であれば、しておくと修理を依頼した際にスムーズです。以下のどちらからか、見ておきましょう。
- ボイラー本体
- 配水管本体、または配水管の接続部
ボイラー本体からの水漏れなら、ボイラーを設置した業者に修理を依頼できます。しかし、配管ならボイラー業者は対応できず、水道修理業者に依頼し直さなくてはいけません。
灯油ボイラー水漏れ箇所ごとの原因
灯油ボイラーからの水漏れの原因を解説します。
灯油ボイラーからの水漏れ箇所は、主に以下の4カ所からです。箇所ごとに原因は異なります。
- 安全弁
- 灯油ボイラーの下
- 配管
- 灯油ボイラーの止水栓
それでは、水漏れ箇所ごとの原因を説明します。
安全弁からの水漏れ
水圧が高い場合に、減圧弁が減圧します。それでも内部の圧力が高い場合は、安全弁が作動し圧力を外部に放出して、灯油ボイラー内の圧力を安定させるシステムです。
灯油ボイラーには、安全弁が外付けされているタイプと内臓タイプがあります。
減圧弁や安全弁の故障
減圧弁に不具合が生じると、水圧を下げられなくなり水圧が高すぎて安全弁だけでは十分に無駄な圧力を放出できません。
内部の圧力が高過ぎるため、安全弁が常に開いた状態になってしまいます。安全弁が開いたままなのが、水漏れの原因です。
減圧弁や安全弁が内部に設置されている場合は、メーカーに修理依頼がおすすめです。しかし、減圧弁や安全弁が外付けの場合は、水道修理業者に依頼すると迅速に対応してもらえます。
水栓・シャワーからの水の逆流
混合水栓には、水が逆流しないように、逆止弁が設置されています。逆止弁になんらかの不具合があれば、お湯を使った際に安全弁から水漏れがあります。
また、シャワーヘッドがつまると水圧が高くなる可能性があります。シャワーヘッドを掃除して、水圧を安定させてみましょう。シャワーヘッドが古くて水圧を安定できないなら、交換が必要です。
混合水栓等の不具合は、水道修理業者に依頼しましょう。
灯油ボイラーの下
灯油ボイラーの下に水が溜まっている場合は、本体の劣化が進んでいると考えられます。重篤なトラブルの前兆とも考えられるので、原因を突き止めて、対処してください。
部品の劣化
灯油ボイラー内の部品の不具合によって、水漏れが起きる場合があります。内部部品の劣化が原因なら、補修部品があれば交換すれば、水漏れが解消します。
補修部品の保管は、メーカーによって異なりますが、概ね10年です。もし、補修部品がなくなっていたら、本体の交換がおすすめです。
缶体の劣化
灯油ボイラーの缶体が錆びて、水漏れする場合があります。缶体とは、ボイラーの内部に設置された「釜」のことです。専門用語で、「缶体」と呼ばれます。
缶体に水が入って、燃焼しお湯を沸かすシステムです。缶体の交換は可能ですが、部品代が高額なので見積もりをしてもらって、灯油ボイラー本体の交換とどちらが得か検討してください。
灯油の漏れ
灯油ボイラーの下が濡れていると、水漏れだと思いがちですが、灯油の場合があります。水ではなく灯油の場合はすぐに対応しないと、危険です。引火しないよう、よく拭いて乾かしておきましょう。
灯油が漏れる原因は、送油管の緩みや内部バーナーの部品の劣化などです。
灯油ボイラーの経年劣化
灯油ボイラーを設置して10年以上経過していると、経年劣化が始まります。灯油ボイラーの外側や内部の部品が、錆びて腐食が進んでいることが考えられます。
製造が終わっているモデルなら、補修部品もなく修理が困難です。本体が錆びているなら、本体の交換が必要です。
配管からの水漏れ
灯油ボイラー本体の不具合ではなく、配管からの水漏れの場合もあります。
配管の凍結
冬の寒い時期は、配管内が凍結しがちです。配管が凍結すると、破裂して水漏れにつながるケースも。
水は凍結すると膨張して体積が増え、配管の中の水が膨れ上がります。配管内の圧力が上がって、じきに配管が破裂するのです。冬季は水抜きをし、凍結防止対策を施しましょう。特に、長期外出時は、水抜きが必須です。
灯油ボイラーの凍結防止対策については、以下の記事をご覧ください。
配管の劣化
灯油ボイラー内に通っている水が流れる配管は、劣化するとピンホールと呼ばれる小さな穴が開いてしまうことがあります。ピンホールから水漏れが始まっているケースは、配管そのものを交換しなくてはいけません。
水圧が必要以上に高まらないよう、留守の際は水抜きをしておくと安心です。
配管の接続部の緩みやパッキンの劣化
ボイラーと給水管の接続部からの水漏れは、ナットの緩みやパッキンの劣化が原因です。パッキンは古くなると固くなり、隙間ができるので、パッキンの交換が必要です。
止水栓からの水漏れ
灯油ボイラーを長期間にわたって使わずに放置すると、内部の圧力が高まって水漏れが始まることがあります。
極端に夜間冷えることがわかっているような時期は、不安になって水抜きをする人がほとんど。しかし、凍結しなさそうな時期に、長期間使わないケースも注意が必要です。
長期間ボイラーを使わない場合は、水抜きをしておくと安心です。
灯油ボイラー水漏れ時は交換と修理どっち?【判断基準の寿命や費用】
灯油ボイラーからの水漏れがあると、修理か交換か迷う方も多いでしょう。ここでは、交換がおすすめのケースと、修理費用がどのくらいかかるのかを紹介します。
灯油ボイラーの修理は、どのような業者に依頼すべきかも解説するので、参考にしてください。
灯油ボイラーの寿命
灯油ボイラーのメーカーによる設計上の標準使用期間は10年とされている場合がほとんどです。つまり、灯油ボイラーの寿命は、概ね10年と考えられます。
設置して10年を過ぎると、次々と不具合が生じ始めます。そのため、1箇所を修理しても、また新たなトラブルがあるかもしれません。
その上、10年を過ぎると修理用の部品を保管していない可能性も。修理用部品がないと修理が難しいため、交換した方がいいでしょう。
反対に、設置して間もないなら、保証期間を確認してください。保証期間内なら無料で修理が可能です。延長保証を契約している可能性もあります。
保証書を確認して、灯油ボイラーのメーカーに連絡してください。
灯油ボイラーの修理費用の目安
灯油ボイラーの修理に必要な相場料金をご紹介します。以下はあくまで目安なので、必ず見積もりをしてもらって、料金に納得してから依頼しましょう。
修理作業 | 費用目安 |
---|---|
安全弁の交換 | 10,000円〜15,000円+部品代(安全弁:約15,000円〜) |
ボイラー部品交換作業 | 5,000円〜10,000円+部品代 |
配管のパッキンなど部品交換 | 5,000円~8,000円+部品代 |
水栓の部品交換 | 11,000円〜+部品代 |
水栓交換 | 7,000円〜13,000円+水栓本体価格 |
破損した給水管の修理 | 25,000円〜 |
リモコン交換 | 15,000円~20,000円 |
灯油ボイラー本体交換 | 150,000円〜300000円 |
灯油ボイラー内部の部品は、10,000円以内のものがほとんどですが、缶体は60,000円〜90,000円と高額です。灯油ボイラーが経年劣化している場合は、缶体を交換せずに本体の交換をした方がいいでしょう。
修理業者の選び方
水道修理業者かボイラー業者に依頼するか迷っている方も多いでしょう。
灯油ボイラー本体の故障による水漏れなら、ボイラーを設置した業者に依頼するのもいいでしょう。特に、保証期間内なら、無料で修理をしてもらえてお得です。
しかし、配管や水栓の不具合による水漏れの場合は、ボイラー業者は対応できません。対応できなくても、来てもらうと出張費や点検費が生じます。
原因がわからない、または明らかに配管や水栓に不具合があるのなら、水道修理業者に見積もりを依頼しましょう。ほとんどの水道修理業者は、出張による見積もりも無料です。
まずは、無料で点検してもらうと、原因が突き止められます。
灯油ボイラーの水漏れを放置するリスク
灯油ボイラーの水漏れを発見したら、すぐに対処することをおすすめします。放置すると以下のようなリスクがあるためです。
- 一酸化炭素中毒の恐れ
- 漏電する
- 水道料金が上がる
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
一酸化炭素中毒の恐れ
給湯器のバーナーが濡れたり、水が配管に入り込んでしまったりすると、不完全燃焼が起きる可能性があります。不完全燃焼が起きると、一酸化炭素が発生してしまうかもしれません。
一酸化炭素は、毒性が高い物質です。しかし、無色・無臭で発生しても気付きにくいので、気づかないうちに吸い込んで中毒を起こしてしまいます。重体になるだけではなく、死亡してしまうケースもあるので注意が必要です。
漏電する
絶縁体で覆われている箇所が濡れると、絶縁体が劣化して剥がれてしまうと漏電の可能性が出てきます。
漏電があると、電力消費量が増えます。トラブルはそれだけではなく、触った人が感電したり、火災の原因になったりする恐れがあります。とても危険なので、できるだけ早く水漏れを解消しましょう。
水道料金が上がる
わずかでも水が少しずつ漏れていれば、水道料金が跳ね上がります。
地域によって水道料金の計算方法は異なりますが、一般的にある規定以上の消費になると急に高額な設定になっている自治体がほとんどです。
水漏れが原因で水道料金が上がると、減免制度を採用している自治体があります。しかし、灯油ボイラーの水漏れは、気付きにくい場所とはいえません。そのため、減免の対象にはならないケースも多いでしょう。
灯油ボイラーが水漏れしたら
灯油ボイラーから水漏れの箇所ごとの原因や対処方法を紹介しました。灯油ボイラーからの水漏れは、放置すると危険なので迅速に対応してください。
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- 灯油ボイラーの水漏れ原因はなんですか?
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灯油ボイラーの水漏れ箇所によって原因は異なります。 灯油ボイラー本体の経年劣化で部品が劣化しているか、配管との接続部分のナットの緩み、配管そのものの劣化が原因です。
- 灯油ボイラーの水漏れを放置するリスクは?
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灯油ボイラーの水漏れを放置すると、以下のようなリスクがあります。 ・不完全燃焼による一酸化炭素中毒の恐れ ・漏電による感電や火災 ・高額な水道料金の請求 マンションなど集合住宅にお住まいなら、階下への水漏れリスクもあるので、できるだけ迅速な対応が必要です。
- 灯油ボイラーの交換時期はいつ頃ですか?
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灯油ボイラーの寿命は約10年です。10年を過ぎると、次々と不具合が生じるので交換を検討してください。
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